
上船津橋から
大阪中央卸売市場を見る。
最近、朝日新聞の夕刊で<現代の漂泊>という連載が始まった。
その何回目だったか、
「最後の放浪詩人」と呼ばれる高木護さんの記事が載っている。
これがなかなか面白い。
高木さんは熊本生まれで、44年に少年軍属として東南アジアに渡り、マラリアを患う。
帰国後も、その後遺症で定職に就けない。そこから彼の放浪が始まった。
<冬は鹿児島、夏は北九州を目指し裸足で歩いた。ほとんど野宿。墓の腐りかけた供え物を食
べた。ある冬の夜、山の中で野宿をした時のことだ。枯れ葉を集めて寝ていると、闇の中、ガ
サガサと音がした。野犬か。イノシシか。死んだふりをして震えていた。
とつぜん、近づいてきた獣が立ち止まり、周りの枯れ葉を後ろ脚でかけ始める音がした。「獣
がおれを仲間と思い、一生懸命枯れ葉をかけてやろうとしている」。胸が熱くなり、涙があふ
れてきた。>
そして4年間の放浪の後、日雇いとして働き、雑誌に「最後の放浪詩人」として取り上げら
れ、評判になる。
「未来社」の編集者だった松本昌次のすすめで放浪体験を本格的に書き始める。
松本は言う。
「漂泊の魂は、俗にまみれ、うまいもの食べて、うまい位置にいればいい、みたいな感覚を痛
烈に刺してくる。人間本来こうあるべきだ、という猛烈な批評がある。」
高木さんは現在、老朽化した都営住宅で暮らし、エッセイなどの原稿料が入ると、昼間から麦
焼酎のお湯割をなめるように飲むという。
高木さんにとって「世間」などどうでもよいことなんですね。
■■■ 本日のおすすめ本 ■■■
【このブログは、いろいろな所から出版の情報を集めて書いています。出来るだけ多くの本を取り上げようと思っていますので、紹介する文章は中途半端に終わっているかも知れません。それでも、本のセレクトにはいっぱいの気持ちを込めています】『極上掌編小説』 片岡義男、車谷長吉ほか著 角川書店
純文学からエンタメ作家、新人気鋭から老練まで収められる。
鮮やかな筆さばきで世界を切り取り、掌編小説の「華麗な技」の魅力が味わえる。
『美酒楽酔 飲めば天国』 阿川弘之、開高健ほか著 講談社
誰がこの書名に決めたのか、書名と書き手を見ただけでこの本の面白さが伝わってきます。
本書は「世界の名酒事典」掲載の座談・エッセイ・酒論から15編を精選。
吉行淳之介ら座談の名手が甦り、昭和・平成の洋酒史が立ち上がる。
居酒屋<美酒楽酔 つーやん>なんてどう?
『搾取される若者たち』 阿部真大著 集英社新書
東京大学の若き社会学者がバイク便ライダーの仕事を一年間体験。
そこで見たものは予想に反して働きすぎの同僚たち。広がる不安定雇用と新たな搾取の実態を分析する。
「好きを仕事に」の落とし穴とは。
(書名がいまいちのような気がしますが・・・)
『サンカの真実 三角寛の虚構』 筒井功著 文藝新書
「サンカ」といえば三角寛が登場するが、彼が著したサンカ像は、そのほとんどが作り物だったのか。
本書はいかにして誤ったサンカ像が捏造され、定着していったかを、生業から性、死生観までを視野に入れ解き明かす。
三角寛の虚説を一蹴する。
『スキャンダル戦後美術史』 大宮知信著 平凡社
戦争画を描いた責任から、贋作の横行、絵画の金まみれの商品化、それに芸大受験の抱える問題まで、美術界の暗部に迫る事件史。
◆◆ 絵本(児童書) ◆◆
『サンタクロースのふくろのなか』 安野光雅作 童話屋
居眠りをしているサンタクロース。
そのふくろの中を覗こうとする子どもたち。
その中にはこの世界のすべてが詰まっています。
『ひとりじゃないって』 小宮山佳文 橋立悦子画 文研出版
魔法使いのおばあさんは、ネズミに魔法の本を盗まれます。
そのおかげで人間なみの苦労をすることに。
一方、魔法をおぼえたネズミは・・・